水害が起きるとどうなる?

近年日本では台風や豪雨にともなう水害が多発しています。しかし、水害は最近になって発生したものではありません。日本では昔から川の氾濫や津波、洪水など、水害と戦う歴史がありました。水害についての正しい知識を身につけて、自分や家族、従業員を守れるように備えておきましょう。

日本で水害の多い理由

気候

日本は世界でも雨の多い国の一つです。世界の年間降水量の平均が1,065mmに対し、日本は1,668mmと、実に約1.6倍に達します。雨の量が多いとそれだけ川の水量が増えやすく、洪水などの被害が発生しやすいと言えます。

四季と水害

日本の特徴として、はっきりとした四季があり、季節によって降水量が大きく変わる点が挙げられます。5月から7月にかけての梅雨、夏から秋にかけての台風の時期は、短期間に集中して雨が降るため、急に川の水が増えやすくなります。また日本海側の豪雪地帯では冬に降水量が集中します。

国土と都市化と川

人間の生活に水は欠かせません。そのため人は昔から川の近い、平らな低地に生活していました。その川の増水や氾濫で水害が起きることが多いのですが、そこには日本ならではの特徴もあります。

山岳地帯の多い日本は山から海までの距離が近いため、高地から低地までの高低差があります。すると川の勾配も急になるため、流れ込んだ水のいきおいが強くなります。そのため大雨が降ると、急に河川の水が増える特徴があります。

また、住宅地や道路の建設にともなう都市化があります。都市化していない場合、雨水は地面に染み込んだり、田畑に蓄えられたりして、川に集中することはありません。しかし、都市化した地域では雨水が地面に染み込まず、直接川に流れ込むようになります。都市の河川で急な増水が起こるのはこうした理由があります。

ゼロメートル地帯の住宅

ゼロメートル地帯とは、満潮時の平均海面と同じか、それよりも低い標高の土地を指します。もとは川の一部だったところも埋め立てて開発された地域です。東京・大阪・名古屋の大都市の一部はこうしたゼロメートル地帯に広がっています。
東京では荒川や江戸川など、市街地よりも上を流れる川があります。川の水が堤防を越えたり、堤防決壊が起きた場合は、川よりも低地にある地域は大きな被害を受けることになります。国や自治体による対策も急がれますが、一人ひとりの水害への心構えも必要とされています。

水害の種類

水害と呼ばれる災害には種類があり、それぞれ起きる被害と対策が異なります。

洪水

大量の水が流れ込み、水の力で建物や田畑、道路が押し流されます。ニュース等で見ることもある通り、車でさえも流されることがあります。これまでの災害で大きな河川で洪水が起きると、死者が数百人にのぼることがありました。洪水によって道路や鉄道が流されると、食料などの支援物資の輸送が困難になります。また、電気や水道、ガスなどのインフラの停止がおこることもあります。

浸水

水害には道路や建物内への浸水の被害が多く挙げられます。水と一緒に土砂も流れるてくるため、水が引いたあとも土砂まみれになって復旧に時間がかかることがあります。また、電子機器が水によって故障する事例も多々あります。

土砂災害

大雨によって地面が緩むと、土砂災害の危険があります。土砂災害には地滑り、がけ崩れ、土石流があります。そのため、川の近くでなかったとしても人命に関わる災害が発生します。

都市の水害

都市では下水道で処理できなくなった雨水が氾濫する、内水氾濫による水害もあります。全国の洪水被害額のうち半分は内水氾濫で、東京都は80%が内水氾濫によるものです。

参考サイト


参考文献

  • 『水害読本』(毎日新聞出版社)
  • 『水害の大研究』(PHP)
  • 『水害救援法務ハンドブック』(第一法規)
  • 『大水害「安全対策」ガイドブック』(宝島社)

 

 

  • 対策その1「心構え」

    自然現象を人間がコントロールすることは難しく、国や自治体の対策もすぐに進むとは限りません。年々増え続ける水害に対しては、自分や家族は自分で守ることを基本にしましょう。

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  • 対策その2「豪雨・水害の防災会議」

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  • 対策その3「必要なもの」

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