豪雨・水害の対策その3「必要なもの」
3、豪雨・水害対策に必要なものを準備する
ご自宅やオフィスの水害発生のレベルに応じて、必要なものを準備しましょう。
また、避難の際はバタバタしてすぐに必要なものをそろえることが難しくなります。事前に買っておいた防災用品も、時間が経つと置き場所や存在自体を忘れたりします。「避難用の持ち出し用品はここにまとめて置いておく」と決めておきましょう。できるだけ持ち出しのバッグやリュックにひとまとめにして、背負て外に出るだけの状態が望ましいです。現金や日用品も持ち出しように多めに用意して、持ち出しリュックにいれておきましょう。いざという時に行動すべきことのメモも一緒に置いておくことをお勧めします。メモには、避難時に改めてリュックに入れるもの(お金や位牌など)、1階から2階にあげておくもの、防水対策しておくもの、ガス栓や水栓の確認、家族のチェック事項、連絡事項、不在の家族がいる場合にやっておくことなどを書いておきます。
水害の避難は時間との戦いになりますが、あわて過ぎて何も持たずに外に出るはめになるのもいけません。避難用の防災用品の置き場所を決め、必要なものはまとめておき、いざ避難という時の行動メモも用意しておきましょう。
徒歩避難の対策
避難勧告や避難指示が出ている場合、現地での雨はそれほど降っていなくても、避難途中で急に雨量が増えたり、想像以上の早さで浸水して水位上昇することがあります。慌てることなく安全に避難するために、必要なものをそろえておきましょう。
レインコート・レインポンチョ
傘は避けてレインコートまたはレインポンチョを着けましょう。傘は強風に飛ばされやすいうえ、手がふさがるので、避難時に思わぬ困難が生じやすくなります。
底の厚い靴
浸水が始まると、いろいろなものが流れてきます。しかし、避難時は水や雨で地面が見えないことがあり、危険なものを踏んで足を傷つけることがあります。底の厚い靴か、インソール等で強化しましょう。
なお、長靴は洪水や浸水時の避難に不向きです。すぐに長靴へ水が入り、脱げやすくなります。
長い棒
道路にかなり水が溜まっている状態での避難には、長い棒の使用をお勧めします。水や雨がで地面が見えない中で歩くと、危険物やフタの空いたマンホールの穴に気が付かないことがあるためです。家族や集団で移動する場合は、先頭の人が棒で地面をさしながら、安全を確認します。
懐中電灯
これまでの水害で避難が夜になる事例が多く見られます。防水の懐中電灯を用意しておきましょう。バンドで頭に取り付けられるヘッドライトがあると、両手が空いて便利です。特に避難時に先頭に立って先導する人は、棒で足元を確認したり、後続の家族の手を引っ張ったりと、手が埋まりがちです。
救助笛
避難途中で移動ができず、立ち往生してしまった時にそなえて、救助笛を用意しておきましょう。
厚手の手袋
避難時に障害物をどかさないといけない場合、また、水が引いた後に浸水した自宅の片付けに、厚手の手袋があると便利です。
家族の連絡先(子供向け)
子供の持ち物に家族の連絡先を入れておくと、万が一離ればなれになってしまった時に、保護してくれた方が連絡を取りやすくなります。水で濡れて読めなくなることがないように防水対策をしておきましょう。
ロープ
浸水が進み水位があがると、思いのほか足を取られて転倒したり、流されることもあります。小さな子供や足の弱った年配者は特に危険です。家族やグループなど数人で移動する場合は、離ればなれにならないよう互いの体をロープでつないでおきます。
ライフジャケット
建物のかなりの部分が水没するような地域や、避難途中にかなりの水量がある場所を通らざるをえない場合、ライフジャケットを着けて避難することも考慮します。とは言え、身体は水に浮いても、さまざまな障害物も一緒に水に流れてくるため、危険なことには変わりありません。ライフジャケットがあるから安全とは思わずに、雨量の少ない段階での避難や、洪水の激しくなる恐れのある箇所を避けた避難ルートの確保を心がけましょう。
防水のリュックやバッグ
避難グッズを入れる持ち出し用のリュックやバッグを用意します。雨で濡れない防水のバッグやリュックがお勧めです。浮くタイプのリュックもあります。また、両手が空くものを選びましょう。
避難場所滞在用の対策
避難所や避難先で使うものをバッグにひとまとめに入れておきます。下記の避難所用の用品を参考にしてください。
避難所用
被害状況によって避難所生活の期間はまちまちですが、最低3日分は自前で用意しておくと安心です。
避難所生活の前提として、「必要な物資が全て支給されるとは限らないので、自分のことは自分で準備する」「他の人と共同使用のため、互いにルールとマナーを守る」ことを大事にして下さい。雨風をしのぐ屋根とスペースがあるだけでも有難いと考え、必要なものは自前でそろえましょう。
また、自治体が用意した避難所に移動できる場合は多少の設備や備蓄品が期待できますが、もともと避難設備のない場所へ避難せざるを得ない場合もあります。高台のビルの一角や、学校の体育館などです。
準備不足で他の人に助けてもらうようなことはせず、他の人を助ける側にまわれるだけの余裕を作れることがベストです。
非常食・非浄水・浄水器・折りたたみできるポリタンク
自治体が非常食を備蓄していても、避難所に必要な量がスムーズに届くとはかぎりません。また、通常は個人の好みやアレルギー対応まで考慮されていないものです。家族3日分の食事は自前で用意しておくと安心です。余裕があればお菓子や甘いものがあると、子供だけでなく大人も不安な気持ちが和らぐのでお勧めです。携帯可能な浄水器があると水には困らず、手洗いなどちょっとした生活用水の確保もできます。また、避難所で水がもらえる場合は、折りたたみできるポリタンクがあると便利です。
廃棄可能な食器類
紙皿、紙コップ、割り箸、スプーンやフォーク、サランラップ、ゴミ袋などです。
避難所では食器が十分に洗えません。廃棄可能な紙製の皿やコップを用意しておきましょう。避難所体験者の声として、皿にサランラップをしくことで、皿を洗ったり廃棄せずに繰り返し使えたというケースもあります。ゴミ袋もあると重宝します。
下着の着替え・おむつ・生理用品
荷物がかさばるので、着替えをたくさん持っていくことはできません。着替えは下着類のみにしておきましょう。下着を替えるだけで随分と清潔感が変わります。必要に応じておむつや生理用品もご準備ください。
歯磨き・うがい薬・ウェットティッシュ・アルコールなどの衛生用品
避難所生活を清潔に過ごすために、歯磨き類、うがい薬、ウェットティッシュ、アルコールなど衛生用品があると安心です。大判のウェットティッシュは身体をふくことができるので、特に夏場の不快感軽減に役立ちます。女性の場合はデリケートゾーンを衛生的にするビデもあると良いでしょう。
感染対策品・医療品
水害発生時には不衛生な水に触れることが多くあり、避難時に障害物にあたり傷ができてしまうこともあります。消毒類やガーゼ、絆創膏などは用意しておきましょう。また、避難所は多くの人が狭いスペースで居住するため、お互いの感染防止のためにマスクの準備をお勧めします。その他、日常で使用している薬や医薬品があればご準備ください。
非常用トイレ
避難所で十分な数のトイレがあるとは限りません。長時間のトイレの我慢はぼうこう炎の発生などの危険もあるので、非常用のトイレをいくつか持ってきましょう。トイレ回数は1人当たり1日5回が目安です。
保温用ブランケット
避難時に体が冷えたり、空調が十分でない場所に避難して一晩すごす場合に備えて、保温用ブランケットがあると安心です。
ラジオ
災害時の情報収集はラジオが適しています。災害時はスマホの電波が通じにくく、SNS等では誤った情報も飛び交いやすく、またバッテリー残量の心配もあります。ラジオは公的機関からの情報が受信でき、電池で長時間使用できます。防水タイプがお勧めです。また、イヤホンを使えるタイプのものであれば、周囲を気にすることなく放送を聞くことができます。
スマホ充電池(モバイルチャージャー)
避難所でコンセントを使うことは、ほぼできないと考えて下さい。スマホが必要な方は、携帯用の充電池があると心強いです。電池タイプがお勧めです。太陽光発電の充電器もありますが、水害の発生する豪雨や台風時は十分に使えないかもしれません。
その他
その他に各家庭ごとに必要なもの、余裕があればあると便利なものを用意します。避難所経験者からの声としては、耳栓(他の人のいびきで眠れないことがある)、布製ガムテープ(仕切り止めや名前書きなど万能に使える)、虫除けスプレー、ライト、使い捨てカイロ、熱中症対策の飴、現金、トランプ(避難所の退屈を乗り切るため)などです。
自宅避難用の対策
浸水の可能性が低い地域に住む場合は無理して外に出ず、自宅で待機しましょう。
注意点として、ご自身の自宅は無事でも、電気・ガス・水道のインフラは止まったり、交通網が寸断されて物流が滞ったり、スーパーやガソリンスタンドが営業していない場合があることです。地震や噴火の災害と同じく、社会インフラが一時的に停止する可能性を念頭のうえ、最低3日間、できれば1週間分は自宅で過ごせるだけの準備をしておきましょう。
非常食・非浄水・浄水器・ポリタンク
防災対策では定番の非常食類を用意しておきます。
最近では必ずしも防災食を用意するのではなく、いつも買っている食料や調味料を多めに買って古いものから使い、常に余裕分を確保しておく「ローリングストック」が推奨されています。非常食は長めの賞味期限があると言えど、期限がすぎてしまうと無駄になり、また、家族全員を1週間分そろえるとそれなりのコストになります。また、味覚に合うともかぎりません。その点、いつも食べているもので余裕在庫を持ちながら使うローリングストックであれば、食品が無駄にならず、災害の非常時の心理的安心にもつながります。
水はローリングストックが難しく、断水時には保存水が頼りになります。汚水を浄水できる浄水器もあれば安心です。また、生活用水をためるポリタンクもあると便利です。給水所へ水をもらいに行く際は、折りたたみタイプのポリタンクが便利です。
カセットコンロ
ガスが止まってしまった場合にそなえ、カセットコンロを用意しましょう。非常時に温かい食事がとれることは、心理的負担の軽減にも大切です。
ランタンや非常用ライト
電気が止まってしまった場合にそなえて、ランタンや非常用ライトを用意します。必要に応じて、家族の人数分、明かりの必要な部屋の分を用意しましょう。
蓄電池・発電機
停電にそなえた蓄電池があると便利です。普段から充電しておきましょう。
発電機はガソリンで動くもの、ガスで動くものがあります。ただし発電中はかなり大きな音が出るものが多いため、家族はもちろん、近所迷惑にもなりがちです。どうしても常時電気を使い続けないといけない状況でない限りは、なるべく蓄電池で対応したほうが良いでしょう。
非常用トイレ
水が止まりトイレが使えないときに、非常用トイレが力を発揮します。トイレ回数は1人当たり1日5回が目安です。3日分なら1人15回、1週間分なら1人35回分が目安です。
日用品・医薬品
水害発生時には、しばらく外に買い物へいけない状況も予想されます。いつも使っている日用品や医薬品は多めに用意しておきます。乳幼児がいる場合、おむつは多めに用意しておきます。食料品のローリングストックと同じく、日用品・医薬品も余裕在庫を持ちつつ使うようにしておくと安心です。
自宅やオフィスの浸水・水没・倒壊に備える
水害は早急な避難が原則です。特に水没の可能性がある地域は、警報があり次第すぐに避難します。
それでも、何らかの事情で避難が遅れることも無いとは言えません。救出を待つまでの最悪の状況にも備えがあると、安心度はさらに高まります。
また、人は無事に避難できても、水害によって自宅は浸水、水没、倒壊することがあります。水害後は必要物資、生活用品の物流も滞りがちです。貴重品対策や、後片付けの準備も備えておくことで、水害後の生活の復旧が早くなります。
ボート
避難が遅れ、建物の大部分が水没し、屋根の上に逃げることもできない場合の最終手段として、ボートが必要になります。
ボートは最大搭載人数があります。多少の荷物を積み込む場合や、安定性を考えて、乗船予定の人数プラス1〜2名の最大搭載人数のボートを選ぶと安心でしょう。ボートに乗っただけではそのまま流されてしまうので、オール付きボートがお勧めです。
ゴム製のボートは未使用時は小さく折りたたむことができるので、スペースの少ない家庭やオフィスでも収納は可能です。膨らます際は足を使うフットポンプか、電動のポンプを使います。フットポンプは確実ですが、少し時間がかかります。電動ポンプは楽で速いのですが、水害で停電してしまった場合は使えなく、一般的に高価です。多くのボートにフットポンプが標準装備されているので、まずは一度、実際にフットポンプでボートを膨らませてみるとよいでしょう。使用できるまでの時間や労力も分かり、いざという時の正確な判断につながります。その後で、電動のフットポンプが必要かどうかご検討ください。
なお、安価なボートは災害時の安定性・耐久性に不安があります。家族の最後の砦として用意するのであれば、多少高くても、災害対策やレスキュー用品を扱う信頼できるメーカーのボートを購入しましょう。購入後は災害時のみならず、この機会にアウトドアや海水浴でも使用して、使い勝手をあらかじめ体感しておくと共に、楽しみながら購入費用の元を取ることをお勧めします。
最後に、ボートがあったとしても、洪水や豪雨の最中は危険であることに変わりありません。ボートの使用は最終手段ですので、原則は早めの避難であることを忘れないようにしましょう。
ライフジャケット
ボートと同様、逃げ遅れた場合の必須ウェアとして、ライフジャケットを準備しましょう。徒歩で避難する場合でも、急に水かさが増えた時に、ライフジャケットを着けていると安心です。ハザードマップで水害時の水位が高くなる地域にいる場合、1人1着、最低でも子供用は準備してて損はないでしょう。
災害時に初めてライフジャケットを使う場合は、ひもの結び方が不安になったり、どのような感じで浮くのか分からずにパニックになることも予想されます。購入後は、一度は実際に着けてみて、手順や感触を確かめましょう。可能ならプール(※)やアウトドア、海水浴時に持って行き、使用することをお勧めします。実際にライフジャケットを着けて浮いてみると、幼児は浮いている分、簡単にひっくり返ることもあります。大人も浮いている状態だと子供の手助けが難しかったり、あれよあれよという間に離れてしまったりと、いろいろと気がつくことがあります。ライフジャケットがあるから安心と過信せず、楽しみながら防災訓練をするつもりで、水場のレジャー(※)で少しずつ使ってみることをお勧めします。
なお、浮力のある海での浮き方と、浮力のないプールや河川での浮き方は多少異なります。
※プールや公共の場でのライフジャケットの着用は、事前に使用可否をご確認ください。また、河川は流れが急に変わる場所や深くなるところがあります。ライフジャケットの練習で入水する際も、河岸の人とヒモで繋がっておくなど、注意を怠らないようにしてください。
防水・耐水対応の金庫
万が一水没しても浸水しない金庫があれば、家族や業務上大事なものを入れておけます。耐火性もある金庫であれば、火事と水害の両方に対応できて安心です。なお、金庫ごとに、20cm程度の水没なら浸水を防ぐものや、完全水没しても72時間は浸水を防ぐものなど、耐水・防水への対応レベルが異なります。容量、期待する防水レベル、価格と相談して、ご自身の家庭やオフィスにあったものを選びましょう。
防水対応に頼らず、避難時に金庫の中を全部持って行くことを考える場合は、避難の遅れの原因になってしまわないだけの事前準備や決め事をしておきましょう。
作業用手袋
浸水後の建物は、入り込んだ土砂の掃除や天井や床下を乾燥させるために、家財をいったん外に出すことから始まります。その際に作業用手袋が無いと相当の不便を感じますが、水害後はすぐにそうした物品の調達が可能とは限りません。避難用の荷物の中に、丈夫な作業用手袋を一双は入れておくことをお勧めします。
豪雨・水害の対策
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